※この記事は、2012年9月18日(21:40)に別サイトに投稿した記事を転載したものです。今回こちらに転載するにあたり、別サイトの方は削除致しました。
なお、本記事には、今日の時代背景と照らして(いまとなっては何やった誰なんだか伝わらなさそうで)不適切と思われる表現(※塩谷瞬)がありますが、製作者の意図を尊重し、オリジナルのまま転載致しました。
★★★
タイトル『浅瀬でざばざば溺れる』
フタマタが発覚しました。
フタマタっていうか、もう完全に私が浮気相手なわけなんだけれども、
一昨日ヤッた男に朝方、他の女と結婚すると告げられた。
正確には、もうすぐ結婚する予定だったんだけれど浮気がばれてしっちゃかめっちゃかになっちゃったからそっちにも迷惑かけることになると思うけどごめん、て言われた。ぎゃふん。
彼の言い分をかいつまむと、
「ユウコと会うようになってしばらくして、元カノとヨリが戻った。どちらにも言い出せなくてずるずる言っているうちに、以前から結婚結婚結婚結婚つってた彼女が突如仕事を辞めた。両親とも(モゴモゴ)挨拶っつーか、まあ会ったりした。そんで不動産行って、実は今月頭に引っ越しもした。外堀から埋められたっていうか、引き返せないっていうか(モゴモゴ)、、で、昨日も彼女が来てたんだけど、俺がちょっと出かけてた間に前の携帯のきみとのメールのやりとりを見られて、ユウコと付き合ってんのか!て揉めに揉めて、はぐらかしてたら彼女が直接きみに確認するって。だからそっちに連絡いくかも。ごめん。」
ええええええええええええ
「あと、追求されて逃れられなかったから、きみとヤッたことと、その…、回数は1回や2回じゃないことも言った。」
ひいいいいいいいいいいい
「俺、絶対大殺界やわー」
て!どの口が誰に言うとんじゃ!
「あとさー、あいつ(彼女)が以前、女友達に突然呼び出されたことがあって、俺は絶対やめとけって言われたんだって。俺がフィリピン人の女と遊び歩いてるって。証拠もあるって。 ……多分きみ、フィリピン人と間違えられてるで?」
こんなにも、こんなにも悲しいのに、「フィリピン人てwwww」てちょっと喜んでしまっている私は心になんらかの疾患を抱えているのだと思う。
そんで、
その元カノ(っつーか今カノ)は、今ではなんとなく疎遠になってしまっていた私の昔の友達、っていう…。
で、前述の、彼女が部屋に来てるにもかかわらず一人でちょっと出かけてた(その隙に携帯のメールチェックされていた)理由っていうのが、私を駅まで迎えにきてた、っていう…。その駅がちょっと遠めで、所要時間往復2時間、深夜0時過ぎて帰宅……いやこいつすげえな!あの時家で彼女待たせてたんか!
試しに聞いてみた。「…どっちが好きなん?」
「どっちも同じくらい好き。」
おまえは塩谷瞬(※1)か。
塩谷瞬(※2)の顔劣化版か。
※1 2012年当時の時の人(二股レジェンド)。
※2 わからない人は「塩谷瞬 二股 両方好き」で検索!
びっくりした。
まあ、びっくりした。
その、浮気がばれたうんぬんはとりあえず!とりあえずのところさておき!まず、(昔の)友達に、わたしがせせせ、セックス(小声)を、した、とか、その相手を共有、という生々しさに戦慄した。そんで、め、め、メール!男子との甘ったるいメールのやりとりを第三者に見られることほどこっ恥ずかしいことはない。大丈夫か?にゃんにゃんしてないか?即刻確認した。彼女に見られたのは彼がずっと前に解約して今は目覚まし時計として使っていた携帯だそうで、その時期あたりのメールを全部見ていった。
彼からの受信メール(受信日時 5/15 5:30AM)
『今日はカレーとユウコごちそうさま(はーと絵文字)(キスの絵文字)(ベイビー誕生の絵文字)おいしかったよん』
軽く眩暈がした。ばか丸出し。
あと、そこはカレーじゃなくてもっとマシな手料理であってほしかったな、ていう虚栄心。
でも私の送信メールは、ほぼ「おい(怒)」「りょーかい」「はい」「はいはい」「何?」だけだった。そういや私、「愛してるにょん(絵文字)」とか言ったことないわ。そもそも絵文字も使わないわ。よかった。
いや
全 然 よ く な い
悲しいんですけど。
なんていうか、私は今までずっと波風立てないように立てないようにひっそり生きてきたし、ダンジョカンケイノモツレみたいなことはとことん避けてきたし、いや私が避けてきたっつーよりはむしろダンジョカンケイノモツレの方が私を避けてたのかなくらい全然縁がなかったし、ダンジョカンケイノモツレとは対極のとこにいたし、だからつまり何が言いたいのかっていうと、怖ええええ!!!
というようなことを早速友人に電話して話すと、「いやしかしながらあんたはわりと自分の気持ちに素直に行動するところがあって、云々、ぶつぶつ、説教」みたいになった。あと、「おもしろいからこの話シマダとチエチャンにしてもいーい?」て聞かれた。いいよ、て力なく答えた。
でも、ダンジョカンケイノモツレをイメージできなかったのと同様、彼との未来、みたいなもんもイメージできなかったこともまた事実で、私はずっと、いつか今日がくることを知っていた気がする。ただ、もうちょっと先延ばしにしたかっただけ。そういうだらしないところが、私と彼はとてもよく似ているなあ、とみょうに感心してしまう。
私は彼のことをまるで信用していなかった。違うな。必死で信用しなかったんだ。無駄な期待はしないんだって、ずっと自分に言い聞かせてたんだ。そうやって、ずっと準備していた。切り離される準備。それから、切り離す準備を。
彼女はそうではなかったんだろうか。あんないい加減な男の一体どこらへんを信じたというんだろうか。いや、違うのかも。彼は彼女のことは一縷の不安も与えないほどに大切にしていて、私だからないがしろにしていたのかもしれない。なんてやつだ。……とか憤慨してみて。でも本当はそうじゃないことも知っている。
彼女はわかっていたはずだ。ずっと不安で、だから彼のいない隙に携帯を覗き見したのだろう。そんで実は手帖に彼の素行がおかしかった日をすべて記録してて一つ一つメールと照合してったっつんだから、世間様の女子力てすごいですね!!私そんな几帳面なこと絶対できない!!そもそも手帖持ってない!!
まあ、つっても本当に私に連絡きたりはしないでしょーよ。だって私ならそんなこと絶対しないもん。って高を括ってたら、気づいてなかっただけでとっくに来てたよね。メール2件来てたよね。朝7時とか、全然寝てたよね。怖い。
彼女)『突然のメールすみません。直接会って、話したいことがあります。できれば今日会えませんか。』
台風なんですけど。今日、外、大雨なんですけど!
私)『彼から色々、話聞きました。私もびっくりしてしまって、話なら、メールじゃだめですか?ごめんなさい。』
彼女)『いえ、確認したいこともあるので。カフェ〇〇で15時に待ってます。』
15時て。あと25分しかないし。ていうかまさか刺されやしないだろうけど、人前でコップの水ばっしゃんとか私の繊細な自尊心が…
私)『メールでも話はできるよ。ちゃんと本当のことを言います。』
彼女)『絶対嘘つかないでね。信じるよ。確認したいことは、彼とつきあってたんだよね?』
私の中で、ちょっと、意外な切り口だった。
「つきあっていた」かどうか、それがまず一番なんだなって、なんていうか、うまく言えないけれど。
はて、と、これまでの彼の(だらしない・不誠実な)発言の数々を蘇らせ、自分たちの関係、というものについて考えてみる。
「俺らもうとっくにつきあってるやん」
「俺絶対きみの両親ともうまくやれる自信あるし」
「そんなんしてたら別れるぞ、えんか?」
うん、そうだ、私たちは確かに今までずっと――
私)『つきあってません』
彼女)『ユウコちゃん、私と彼がつきあってたのは知ってたよね?』
私)『別れたって聞いてた』
彼女)『つきあってもない人と、体の関係持つんですか?』
カラダノカンケイ。
すげえ照れる。なかなか素面で言えるセリフじゃない。ヤッた、とかの方がなんかこう、カジュアルっつーか、ねえ?でも茶化すわけにはいかない。死に物狂いで照れをこらえて返信する。
私)『悲しいかな、持つこともあるよね』
彼女)『好きだからだよね?』
殺傷力…!!!
私)『私はそうだけど、男はそうとは限らないよね』(←地獄)
彼女)『何回も関係持って、おたがいにフリーで、なんでつきあおうって話にならないの?』
私)『彼にはぐらかされるから。彼はそういう人だと思っているから。無駄な期待はしないって自分にずっと言い聞かせていたから。相手が誰とかまさか結婚まで話が進んでるとかまでは考えなかったけど、ずっと胡散臭かったし、心の準備は…ていうか、メールだと残っちゃうから、恥ずかしいね!』
彼女)『私ね、前にも一度彼に大きな嘘つかれたことがあって、修復に時間かかったんだ。で、その時の「これからは誠実になる」って彼の言葉を信じてやり直したから…。実は私、ユウコちゃんとのことずっと疑ってたんだけれど、いつもはぐらかされてて。でも彼はこういう人なんだね。』
・・・。
・・・・・・。
ずっと抑えてた質問をぶつけてみた。
私)『私に確認して、どうしたいの?』
そして彼女からの返信。
彼女)『あと一つだけ聞きたいことがあるんだ。正直に答えてほしいんだけど、体の関係っていつ頃まであった?お願い、正直に答えて。』
私の質問は無視か。
…最初からわかってましたけどね。
こういうの、なんていうんでしょうね?
オナニーメール?自分一人だけで気持ちよくなりたいだけの。結婚までの紆余曲折をドラマチックに演出したいだけの。
壊す気なんて、さらさらないんでしょう?
そんなことできやしないんでしょう?
私)『さっき私も質問したよね。私に確認してどうしたいの?すっきりして気持ちよく結婚したいだけだよね?私の返答一つで結婚やめるつもりなんてないよね?』
彼女)『前ゴタゴタあった時に、今度裏切ったら別れるって言ってあったの、で、この結果だから、ね…。
昨日話した時に、ユウコちゃんと体の関係持つってことは、おたがいにいとおしいと思ってなきゃそういう関係にはならないんだから、ユウコちゃんが好きならユウコちゃんと一緒になれば?て言ったの。だからユウコちゃんの気持ちを確かめたくて…』
きんっっ もーーーー
『この結果だから、ね…』じゃねーわ。
答になってねーわ。
こういう気恥しいセリフ、ドラマじゃなくて日常で使う人いるんだなーって。
私みたいな地味で冴えない子にも生きてりゃ色々あるもんだなーって。
最初はね、そこは伏せておこうって薄っぺらい決意してたんだけど、やっぱりそんないい人でもいられなくて、そんな義理もねえし、
「最後にカラダノカンケイヲモッタのは一昨日じゃ!!」
つってやった。
私)『でも仕事も辞めちゃって、いまさら結婚やめるつもりなんてないんやろ?そんな勇気ないんやろ?私の気持ち確かめて、それでどうするん?ユウコちゃんと一緒になれば、なんて嘘つけよ。自分に引き留めたい気持ちの裏返しなだけやろ?あんなしょーもない男でもおらんなったら困るんやろ?ていうか、しょーもない男だってことはとっくに知っとったやろ?最後にやったのはおとといです。私は、やった翌々日に他の人との結婚話聞かされたんよね。ばかばかしいっちゅーねん!!…って、ほらね、文字にするとね、後々まで残っちゃうのがね、なんかね、ちょっとね』
「おととい」を、ちゃんと読めるようにあえて平仮名表記にした。
「おととい」をより強調するためだけに「やった翌日に云々」のくだりを足してやった。
さすがに恥ずかしくなって語尾で無理やり減速させて余計ぐだぐだになった。
っていうか今メール見返してめちゃくちゃ恥ずかしくなった。やっぱりカフェでコップの水ばっしゃーんされた方がマシだったかもしれない。水なら乾けば消える。物的証拠は残らない。
彼女からの、返信。
彼女)『昨日から頭の中がごちゃごちゃなんよね。いま、後戻りはできないってことはわかってるんだけど、もう、これから一緒に笑って暮らすのは無理だと思う。ユウコちゃんはなんで私に普通にそういう風に言えるん?あいつに裏切られて腹立たんのん?』
これから一緒に笑って暮らすのは無理、にまた軽く眩暈がした。
『腹立たんのん?』
腹を立てる?
腹を立てる。
そうか。
怒ればいいのか。
私はいつも全部、怒りじゃなくて、悲しい、に変換されてしまう。
悲しい、って、相手にどうぶつけたらいいのかわからない。
ぶつけたって、もっと惨めになるだけで、なんにも救われないと思うんだけど。自分の内側に吸い込むしかないと思うんだけど。違うの?他の人はそうじゃないの?
だって、他人なんて、自分の思い通りになんかならないんだよ。
あいつなんて、特にそうだよ。
裏切るとか裏切られるとか
ここには完全に正義で、完全に被害者でしかない人なんて一人もいないんだよ。
私だって、誰もいないから彼に依存していただけ。もし立場が逆なら、私がずるずると彼に言い出せなくて、ぎりぎりで彼を(((裏)))切ったって全然不思議じゃなかったんだよ。私は二択でなら彼を選ばない。そういうところも含めて、私と彼は情けないほどにとても卑怯で、とてもよく似ている。
彼女だってそうだ。仕事を辞めたかったから、結婚に逃げただけなんでしょう?(つーかきょうび結婚するからって仕事辞めるぅ~?)
人は、信じたいものだけを信じてしまうから、見たいものだけを見てしまうから、そんなに強くないから、といってそこそこ図太くもいられるから、そうやってあなたは一昨日まで別の女とヤッていた男と被害者面して結婚するんだよ。
いろんな気持ちを添えて
私)『私ほら、ちょっと屈折してるから』
と返した。
ああこの返信も今見返すと酷い(あああああ
彼氏の浮気に逆上できるほどに、私は自分に自信がないのかもしれない。自分を愛してやれないのかもしれない。ただ淡泊なだけなのかもしれない。我慢も受け流すことも、強さじゃない。それは弱さ。ただの怯え。私は恋愛では取り乱せない。ただただ、みんなすごいなーって遠巻きに見ているだけ。
「彼女と結婚したいん?」
「押し切られるっていうか、引けないっていうか、、、うーん」
「相手がどうとかじゃなくて、あんたがそうしたいのかって聞いてるんやけど」
「俺は、自分からは結婚とか、そういうのは考えられなくて、はぐらかしてきたんやけど…」
「でも彼女がえんやろ?」
「あいつとは腐れ縁っていうか、でもきみのことは、考え方とか、一緒におってすごい楽しいし、ほんと好きで…」
どんだけ聞いても、彼は最後まで私ではなく彼女を選ぶのだと、きっぱりと口にはしなかった。どこまでも卑怯な。
そしてちょっと笑ってしまう。私こそ、一体何を確認したかったのだろう。確認してどうしたかったのだろう。
自業自得なのだと思う。
どうしようもないけど、じゃなくて、どうしようもないところが好きだったんだから。
信じたいものだけ信じ、見たいものだけ見てたのは誰よりも私で、いろんなことに目を閉じ耳を塞いでいたんだなあ。やばい、自分に浸って泣ける。
1日たってみて、そんなに落ち込んでいないつもりでいたのに、気がつけばまるで食事が喉を通らない。ほぼ水しか飲んでない。あんなにプールに通っても減らなかった体重がたった1日で1.5kg落ちた。(へへっ…)
ああそうか。強いとか弱いとかのカテゴリーじゃないんだ。
私はただ、痛みに鈍いんだ。
痛いのに、心が気づかないふりしているから体が悲鳴をあげてるんだなあ。
ちゃんと泣いて、喚いて、取り乱して、ぶつけられる彼女が羨ましい。
素直な彼女が羨ましい。
愛される彼女が羨ましい。
私じゃない彼女が、羨ましい。
でも、しょうがないじゃんか。
吸い込んで、消えないけどちょっとずつ薄めて、抱え込んで生きるのが私のやり方なんだから、そうしかできないんだから。そうやって、へらへら笑って一歩踏み出すしかないじゃんか。
歩いてたらきっと、そのうちすぐまたお腹もすくんだろう。
(よし、一昨日のセックスで妊娠、に望みを繋いでやる。ふふん)
★★★
私の失恋からの立ち直り方は、「SNSの某日記投稿コミュニティに自身の体験談を即刻投稿する」でした。
『浅瀬でざばざば溺れる』は私の代表作(自称)となり、後に『愛媛の水死体』の異名をほしいままにすることとなるのでした。
フタマタ発覚の翌日にはこれ書いてネットに投稿してるんだから、相当元気だよねって話。
ただ、現実には、このほんの3日後くらいにフタマタ発覚なんて軽く凌駕するさらなる悲しみを経験することとなり、私はその悲しみに打ちひしがれてたおかげで(?)失恋から完全に立ち直りました。ていうか、思い出しもしなかった。
2012年頃に大殺界だったのは彼じゃなくて私の方なんだと思う。(大殺界て何?)
失恋から立ち直る方法は、そんな些細な記憶なんて消え失せるくらいもっと不幸になることです。